●この学科を選んだ理由 〜キャンエコの延長〜
私が大学に入ってまず興味を持ったのがキャンパスエコロジー活動でした。別にた
いした思想があったわけではなく、単に目の前の「問題」をなんとかしたい、と思っ
ただけなのですが、仲間に恵まれたおかげで、やっているうちに様々な疑問が出てき
ました。特に感じたのは、「こんなことやって本当に効果があるの?(=評価システ
ムの必要性)」「本当に効果のある対策ってなんだろう?(=科学的知見の必要性)」
「最終的にどんなキャンパスにしたいのか(=ビジョンの必要性)」ということでし
た。また、学生課や、掃除のおじさんたちと交渉する中で、自分達のスタンスや、他
主体との関わりについて考えることの重要性も実感しました。
3年生で学科を選ぶときには、環境問題に対してどういう風に切り込んでいこうか
悩みましたが、最終的には人間が集中して暮らす「都市」という場所で人間の暮らし
方を考えたいと考えてこの学科を選びました。特に、リスク管理や環境管理システム
(EMS)に興味をもっていました。まさに、キャンパスエコロジーの延長ですし、そ
れは今でも基本的には変わっていない気がします。
●私の研究 〜活動を研究に〜
卒論をはじめる少し前から、縁があって大学周辺でのまちづくりに関わるようになっ
たので、そこをフィールドとして卒論を書くことにしました。ここは、早稲田大学商
店街のようなリサイクルによる商店街活性化を目指してはじまったのですが、なかな
か具体的な活動に結びつかず、何か役に立つような研究をしたい、と思っていました。
そこで、評価システムをつくること、そこから対策を導き出すような科学的知見を
得ることを考え、それらを通じて商店街の未来像について考えようと思いました。具
体的には、商店にアンケートに協力してもらい、運営・商品の製造・輸送の各段階で
の資源消費・廃棄物排出等の環境負荷を調べました。そこから、商店の運営段階での
電力消費から生じる環境影響が最も大きいことがわかったので、対策を提案しました。
また、スーパーマーケットとの比較をしたり、対策の実現可能性についてさらにヒア
リングを行ったりしました。卒論は、「商店街における環境パフォーマンス評価と持
続可能な商業形態に関する考察」という題目で、まとめています。
●辛さと希望 〜研究と活動の差〜
もちろん卒論(=研究)でやることと、キャンパスエコロジーでやることは大きく
違っていて、要するに、ただその場所を良くするだけでなく、他の地域にも役立つよ
うな普遍的なことがあるかどうか、他の人がまだやっていないような新しい視点・手
法などがあるかどうか、というのが研究的には大事です。そういう「研究的に大事な
こと」を考えながら「現場にとって大事なこと」を考えるのはけっこう大変で、卒論
では結局うまくいかなかったし、今でも悩んでいます。また、「研究的に大事なこと」
を考えるとかなり正確なことを求められるので時間がかかり、やりたいことが全部で
きず、けっこういらいらしました。また、研究室に私のように活動を研究にしている
人がいないのもつらかったです。
ネガティブなことをいろいろ書いてしまいましたが、もちろん得られたこともたく
さんあります。
活動を研究にすることは、自己満足に終わらない活動にする、という大きな意味が
あると思います。教授たちとのディスカッションを通じて、自分が何をやりたいのか、
何が必要とされているのか、ということに関する考えが深まります。学会や学会誌の
ような成果を発表する場が用意されているので、頑張れば世界中に発信できるし、意
見をもらえるかも、ということもあります。それに、これまでに積み重ねられてきた
科学的な知見を活用しないともったいないと思います。
また、たとえ研究室にはいなくても、世の中には活動を研究にしている人がけっこ
ういて、最近はそういう意味ではつらくないです。
●将来の展望
今、大学院の修士課程の1年生で、少なくとも修士論文1本分の研究をする予定です。
卒論後にかなり悩みましたが、やっぱり現場に役立つような研究をやりたい、活動を
研究にしていきたいと今は考えています。修論は卒論よりも「研究的に大事なこと」
について厳しく追及されるので、そこをがんばりつつ、「現場にとって大事なこと」
を考えたいと思っています。その後のことはまだ決めていませんが、どこにいても、
どんな仕事でも、基本的にやりたいこと・やることは変わらないと思っています。
東京大学
都市環境工学
環境三四郎
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